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パン屋さんの衛生管理って?HACCPの始め方講座

日本人の食文化にすっかり馴染んでいるパンは、日々の食生活に欠かせないものとなっています。地域に定着した個人のパン屋さんも多いかと思います。今回は小さな食品事業者の店長さん・調理者スタッフさん向けに厚生労働省から紹介されているHACCPの手引書を要約・解説します。

参考:厚生労働省HP「HACCPの考え方を取り入れたパン類の製造における食品衛生管理の手引書」(https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000405124.pdf

■パン屋さん向け!衛生管理の全体像

ステップ①~④の実施で店内(製造現場)での衛生管理が日々どのように実施されているかを見えるようにします。

・HACCPで実施することは『衛生管理の見える化』

要は衛生管理の見える化です!以下のステップ①~④を参考にしましょう。

  • ステップ① 衛生管理計画を作る
  • ステップ② 計画に基づいて実施する
  • ステップ③ 日々の確認を記録に取る
  • ステップ④ 定期的に振り返りと見直しをする

■パンの製造では何に注意が必要?

パンの製造には『焼く(焼成)』といった工程が必要不可欠!そのため、食中毒菌等の有害な微生物からの健康を害するような事故は起きにくいと言えます。焼成後はその日に売り切り、当日から、数日以内で期限を設定していることがほとんどですので、一般的に考えて微生物の増殖はあまり心配しなくても大丈夫です。しかし注意するべき点もあります。

①焼かない食材の管理

クリームや卵、生野菜等には食中毒菌が付着している可能性があります。

菌を増殖させない、他の食材から移らせないことが重要

そのために器具の洗浄・殺菌や食材の整理整頓等のルールを決め、温度管理を徹底しましょう。特に冷蔵・冷凍庫の温度管理は重要です。冷却温度の基準を守れているか日々温度のチェックを実施しましょう。

  • 例:冷蔵10℃以下、冷凍-18℃以下

②焼いた後に商品に触れる器具や手指の衛生管理

焼成後のパンを扱う際のルールを定めていますか?陳列する際のトレー、トング、手袋、包装資材などを扱う際のルールを文書にしましょう!器具は汚れない場所に整理する、トレーなどは使用前にアルコール除菌するなど、ほとんどのお店ですでに実施しているルールがあるのではないでしょうか?

衛生管理の作業を書きおこし、店舗全体で統一しましょう

  • 例:器具は汚れない場所に整理する、トレーなどは使用前にアルコール除菌する

③微生物以外の汚染防止

微生物以外にもパンの製造ではアレルギーの事故、異物混入による事故が起こる可能性があります。食物アレルギーをを含む食品は、ほかの食材と混ざらないように保管場所を整理しましょう!

特に「卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、かに」を含む食品に注意!

お客さんが意図せず食物アレルギーを発症してしまうことで大きなクレームにつながりかねません。また、パンのスライサーやミキサーといった器具の破損で金属異物が混入することがないように器具の点検が事故防止に有効です。またガラス製の器具は破損する可能性があるので使用しない、製造現場に持ち込まないようにしましょう。

■衛生管理を詳しく解説!

先ほどの衛生管理のステップ①~④を解説していきます。

・ステップ① 衛生管理計画を作る

HACCPの手引書にある衛生管理計画を用いてお店ごとのルールを見える化していきましょう!以下が特に重要とされる項目の衛生管理計画の記入例です。

【記入例】

お店ごとに使う設備や加工工程は異なりますので、あくまでも基本のひな形となります。他にも原材料の保管方法や、害虫やネズミの対策を計画に追加するのも良いです!

・ステップ② 計画に基づいて実施する

衛生管理計画を作成したら、従業員全体に周知を行いましょう。今までに実施していた衛生管理方法から改変の必要があれば手順書やマニュアルなどテキストを用いた掲示が有効です。厚労省の手引書から参考にできる部分を引き出すのもお勧めです。文書上だけでなく、実行をしてもらうために朝礼や教育の機会を活用すると良いでしょう。

・ステップ③ 日々の確認と記録をとる

衛生管理計画を作成したら、それに応じた記録表を準備しましょう。こちらも厚労省の手引書に参考例があります!記録の方法や書式は指定がないので、オリジナルでExcelデータを作成する、アプリなどのツールを活用するでもOKです。大事なことは、記録がしやすく、継続できる方法であること、記録の意味を従業員が理解していることです。

【記録表例】

・ステップ④ 定期的に振り返りと見直しをする

店舗の責任者は定期的に記録を確認し、漏れがないか?問題がないか?を見直しましょう。事故の危険性があると考えられる場合は、衛生管理計画を更新することも大切です。また、記録表は最低1年間保管をしましょう!保健所から営業更新のタイミングで開示を求められます。

■まとめ

今回は「HACCPの考え方を取り入れたパン類の製造における食品衛生管理の手引書」を解説しました。まずは手引書をダウンロードし、自分たちのお店のルールがどうなっているのかを振り返ってみましょう。

参考:厚生労働省HP「HACCPの考え方を取り入れたパン類の製造における食品衛生管理の手引書」(https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000405124.pdf

・衛生管理の目的は事故を防ぐこと

「計画書を書いて記録とればいいのか!」

それだけではお店の責任としては不十分です。形から入ることも重要ですが、衛生管理計画を形だけのルールとせず、お店の実行マニュアルとして定着できるかどうかが地域に根付く店舗運営につながります。

HACCPの考え方を取り入れた衛生管理は食品事業者の義務です。

この機会に店舗の衛生管理を見直してみてはいかがでしょうか?

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この記事を書いた人

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