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■お菓子屋さんでもHACCPは必要?
一般家庭でも作ることができるお菓子ですが、いざ販売しよう!となった時にHACCPの衛生管理が必要になります。
・手引書に沿ったHACCPが必要
厚生労働省HPに載っている手引書に沿ったHACCP対応が求められます。
参考:「HACCPの考え方を取り入れた菓子製造業における衛生管理計画作成の手引書」https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000478404.pdf
今回はオーソドックスなお菓子をテーマに50人未満の「菓子製造業」で取り組まなければいけないHACCP手引書を解説します!
■【ステップ1】製造する製品の分類を確認
手引書の「Ⅰ.製造する菓子の分類区分及び製品名」では適用している分類のみを記載しましょう。また、「製法分類区分別菓子製品一覧表」で製品を整理しましょう。それぞれで事故防止のポイントは異なります。
・第1分類:生地調整で加熱する菓子
流し菓子、あめ類(キャラメル、ドロップ)、ゼリー類、チューインガム)
・第2分類:生地調整後に加熱する菓子
蒸し菓子、オーブン焼き菓子、油菓類、砂糖漬け菓子、バターケーキ類、自家製あん等
・第3分類:加熱後手細工加工等が入る菓子
もち菓子、スポンジケーキ類、パイ菓子、シュー菓子、米菓等
・第4分類:仕上げ工程(充填、巻き締め)後加熱する菓子
缶入りようかん等
・第5分類:加熱加工しないあるいは低加熱加工の菓子
おかもの、打ち菓子、押し菓子、掛け菓子、平鍋焼き菓子、チョコレート、原料チョコレート等
第3分類に要注意!
特に菓子製造業での食中毒は “第3分類:加熱後手細工加工等が入る菓子”で発生することがほとんどです。特に手指に接触することで製品にブドウ球菌が付着する、他の食材からサルモネラ菌やノロウィルスの2次汚染が発生するといった事例が多く報告されています。加熱はもちろん大事ですが、作業従事者の健康管理や清潔の維持が最も重要です。
■【ステップ2】製造・販売に係わる衛生管理手順を定める
小規模な菓子製造業では最低限、手引書に記載された項目に関して、衛生管理計画を作成しましょう。規範となる工程は手引書内に記載がありますが、製造現場ごとに設備や管理方法が異なるため、全体を自店舗の方法に修正しましょう。以下が製造現場と販売での抑えるべき項目です!
・製造現場での衛生管理項目
- 施設、設備、機械、器具の衛生管理
- 従事者の衛生管理
- 原材料、商品等の受入時の衛生管理
- 製造時の衛生管理
・販売での衛生管理項目
- 店舗、設備、器具の衛生管理
- 従事者の衛生管理
- 商品、資材の受入時の衛生管理
- 販売時の衛生管理
<修正の一例>
〇製品製造・保管の衛生管理
~金属探知機の使用にあたっては、使用の前後及びあらかじめ決めた製品個数ごとにテストピースを通過させ正常動作を確認し、記録する。~
⇒金属探知機を使用していないためこの項目は削除
■【ステップ3】衛生管理計画を日々実施し記録に残す
衛生管理計画が整理できたら、従業員スタッフに周知し実践しましょう。また、実践だけでなく日々の実施記録を残すことが重要です。手引書内には記録表も含まれておりますので、計画通りに実施ができなかった場合も“不備が生じた際の対応”として、記録しましょう。
・日々の記録の記録例
<HACCP の考え方を取り入れた菓子製造業における衛生管理計画作成の手引書より>
<例>
12/5 Aさんが体調不良を訴えたため早退
12/13 害虫の侵入を確認 専門業者に対応を依頼
記録内容は最低1年間保管し、いつでも振り返りができるようにしましょう。
■まとめ
ステップ1~3が実施できれば小規模な菓子製造業ではHACCPの対応OKとなります!
・大事なのは衛生管理の見える化
記録が日々、計画通りに実施できているか?責任者の目の届かない場所でルール違反が起きていないか?といった点が重要になります。
日々の衛生管理・清潔を維持しましょう
食中毒事故は計画書で防げるものではありません。スタッフ全員に対して衛生管理の方法を伝達し実施してもらうためには、この機会にミーティングや、研修を実施することも有効です。HACCP法令対応をきっかけに適切な衛生管理を浸透させていきましょう!