HACCPとは、ざっくり言うと「飲食店の衛生管理をルールで決めて毎日記録管理してくださいね~」といった内容です。法律ですので導入していない店舗はもちろん法律違反になります。
記録と管理でしっかり法律対応しよう!
ただし怖がらないでほしいのは施設の改築が必要だったり、資格を取得するものではありませんし、厚生労働省の出している手引書に沿って、各店舗のルール作り・実行をすれば問題ありません。日々の記録を残すことで管理を見える化し、食中毒が起きないようにするシステムを作ってくださいといったものです。以下で詳しく解説していきます。
■作成するものは4つ!!
一般衛生管理
- 衛生管理計画書:衛生管理のルールを作り見える化する
- 実施記録:ルール通りできているか毎日記録する
重要管理
- 重要管理のポイント計画書:メニューごとのルールを作り見える化する
- 実施記録:ルール通りできているか毎日記録する
この4つです!とはいえ「面倒くさいな~」と思いますよね。面倒なんです。大きなチェーン店とは違い、小規模な店舗ではそんなことやらなくても・・・といった本音があるでしょう。
しかしこれは法律なんです!
一から書類を作成するなんてできません、という事業者のために、行政がかなり分かりやすい内容で手引書を作ってくれています。また、記録管理については、書類という指定はなく、スマートフォンのアプリで管理することも出来ます。
食品の受入から提供までの危害を予測分析して、特に重要なポイントを管理しましょう!1つずつ解説します。
・①衛生管理の計画を立てる
調理以外の衛生に必要なポイントを7つに分けて、それぞれで「いつ」「どのように」また「問題があった時」の対応を決めます。基準やルールの細かい作り方は厚生労働省の手引書が参考になります。ここではざっくり説明します。
7つの項目
① 原材料の受入の確認
② 庫内温度の確認(冷蔵・冷凍)
③-1 交差汚染・二次汚染の防止
③-2 器具等の洗浄・消毒・殺菌
③-3 トイレの洗浄・消毒
④-1 従業員の健康管理
④-2 手洗いの実施
「問題があった時」の対応は決めていますか?
責任者以外の従業員も、ルールに従えば誰でも然るべき判断が取れるよう対応を考えておきましょう。
問題があった時の例
・材料の受入時、包装が破けて中から汁が漏れていた
→その場で返品・交換する。
・冷蔵庫の温度を確認ところ、基準の10度を上回っていた
→食材の状態を見て処分・あるいは加熱調理のみで使用。
すぐに原因の特定をする。
・②実施記録をとる
これらを毎日、温度は〇度、「良・否」などでチェックしていきます。上記のような問題などは特記事項として記入しておきます。ルールを作ってしまえばあとはチェックを付けていくだけです!
・③メニューごとに計画を立てる
HACCPの考え方を導入するにあたり、安全な料理を提供するためのポイントは調理中の温度管理です。
普段から提供している料理を3つの温度管理のグループに分けて、それぞれのメニューの重要なチェックポイントを決めていきます。
調理工程のある(切る、加熱する、味付けする)メニューすべてが対象
メニューのグループ分け
・グループ1:加熱しないもの(冷蔵品を冷たいまま提供する)
→刺身、薬味、サラダ、生クリーム等
・グループ2:加熱して提供するか加熱後に温存保存して提供するもの
→ハンバーグ、揚げ物、焼き物等
・グループ3:加熱と冷却を繰り返すもの(加熱後冷却、再加熱)
→カレー、ポテトサラダ、ゆで卵、蒸し鶏等
※通常だと以上の3つのグループ分けになりますが温度管理を要さない食品(海苔、常温保存の調味料など)は常温保存グループに区分けします。
グループ分けができたら、次はそれぞれのチェック方法を決めていきましょう!
・④実施記録をとる
チェック方法が決まったら、従業員に教育を徹底し、「良・否」などで毎日チェックしていきます。お客様から料理に関してのクレームや問題があれば備考欄に記録していきます。
メニュー別のチェック方法の例
グループ1
サラダ:洗浄・殺菌後冷蔵。盛り付け・提供まで冷蔵庫で保管する。
刺身:冷蔵庫から出したらすぐに盛り付けて提供する。
グループ2
唐揚げ:180度で5分揚げる。一度にフライヤーに入れるのは8個まで。
グループ3
カレー:調理後速やかに小分けにして冷蔵。再加熱時は1分以上沸騰させ攪拌する。
■完璧は目指さず、日々の取り組みが重要
改めて、HACCPを実施するにあたり、対応するべきことをまとめました。
・日々の運用が大切!
- 衛生管理のルールを作る
- 衛生管理がルール通り出来ているか毎日記録する
- メニューごとのルールを作る
- メニューごとのルールが守れているか毎日記録する
既に運用してる方、まだしていない方も是非参考にしてください!具体的な書き方例などは、厚生労働省の手引書にもわかりやすく載っています。
ポイントを押さえてしっかり法律対応しましょう。