飲食店のHACCPは「一般衛生管理」と「重要管理点」を管理する必要があります。今回は「一般衛生管理」についてお話します。
目次
■そもそも一般衛生管理とは?
食品衛生においてさまざまなポイントが管理点となります。そのうち施設設備の衛生管理や、従業員の衛生管理、ネズミなどのそ族昆虫対策など、環境面を管理することを一般衛生管理と言います。4つの項目に分けて詳しく解説します。
・① 原材料の受入の確認
食材を卸す業者に対し、その食品に問題がないか検品しましょう
必ず納品に担当者が立ち合いましょう。外観、匂い、包装の確認(破れや染みがないか)、表示、適正な温度帯で納品されているかまで確認します。何か問題があった時に返品するなどの対応をあらかじめ決めておきましょう。
×良くない例
・納品時、担当者が不在だったため食材を店の裏に置いて業者が帰ってしまった。
→不在時の食材置き場や決まりを決めていなかった。温度管理や異物混入、害虫の食材への侵入などの問題が起きかねない。
・納品した食材を調理台に箱ごと置いた。
→包装の外側は誰が触れたか、どんな細菌が付いているか分からない。これから盛り付けなどをする台に直接納品したものを置いていしまったために、汚染が広がる。
・② 冷蔵庫・冷凍庫の温度の確認
1日1回以上、庫内の温度を確認しましょう
温度計が付いていないものは温度計を設置しましょう始業時や終業時など、冷蔵であれば10度以下、冷凍であれば-15度以下であることを確認します。温度に問題があれば、原因を確認し、必要があればすぐに修理業者に依頼しましょう。食品は状況を見て使用しないか、加熱して提供するなどしましょう。
×良くない例
・仕込み終えた熱々の料理をすぐに冷ましたかったので、冷蔵庫内の生肉の横にスペースを取り急速に冷やした。
→冷蔵庫には温度管理によって腐敗や細菌の増殖が早まる食材が多くある。急速に冷却することは重要だが庫内の温度が上がってしまうため、氷水などで先に粗熱をとることが必要。また、生肉からのドリップが付着する恐れもあるので調理済みの食材は上の段に置き、未調理の食材と近くに置くべきでない。
・③-1 交差汚染・二次汚染の防止
食品同士の接触をさけましょう
生肉・生魚介類などは蓋つきの容器に入れましょう。保存は先入れ先出しや、食品同士の相互汚染を防ぐような保管が必要です。まな板や包丁などの二次汚染が起きないよう用途に分けて使い分けをし、調理器具の使用後は都度十分に洗浄し消毒しましょう。
○良い例
・肉用・魚用・野菜用でまな板と包丁を色分けしている。
→一目で何用の器具か分かるので二次汚染が回避できる。
×良くない例
・食材ごと容器に小分けで保管しているが蓋はしていたり、してなかったりする
→必ず容器に入れて蓋やラップをしなくてはいけない。貝類などの吐き出す水や、肉類のドリップ水が他の食材に触れて細菌が増殖する可能性もある。
・➂-2 器具等の洗浄・消毒・殺菌
調理器具の清潔を保ちましょう
調理器具は肉や魚など、用途別に使い分け、十分に洗浄・消毒しましょう。洗剤を用いてよく洗浄し流し終えた後、熱湯や塩素系殺菌剤・70%アルコールにより殺菌します。タオルやふきんは水道水と洗剤でよく洗浄した後、沸騰した湯で5分煮沸するか、塩素系製剤で殺菌をした後、清潔な場所で乾燥し保管します。
×良くない例
・洗いたての器具をぬれた状態でアルコール消毒した。
→アルコールは乾燥した部分での使用でなくては十分に効果をはきできない。水分をふき取るか、乾燥させてから行う。
・器具の洗浄に使用するスポンジはいつ交換したか分からない。
→スポンジは定期的に交換が必要。また、濡れたままになったスポンジは雑菌の温床になるため、使い終わったら水気を絞って乾燥させることが理想的。
・③-3 トイレの洗浄・消毒
決められた頻度で清掃を行いましょう
調理時とは別の服、靴、手袋を使用しましょう。便器をブラシと洗剤で洗浄するのみでなく、床面、ドアノブ、水洗レバー、など触れるところは塩素系殺菌剤で拭き上げます。また、使用した器具は洗浄し乾燥・保管しましょう。
×良い例
・従業員がトイレを使用する用のガウンとサンダルを用意している。
→制服を脱いでガウンとサンダルを使用することで便器からの飛沫を調理に持ち込むことを防ぐ。
・④-1 従業員の健康管理・衛生的作業着の着用など
毎日決めた時間に体調確認を行いましょう
毎日、出勤のタイミングや始業前などで、従業員の体調確認をします。従業員に下痢や嘔吐が見られた場合、直接食品を取り扱う業務に従事させてはいけません。病院を受診するようにしましょう。また、従業員の手指に傷がないか、確認しましょう。ある場合には耐水性の絆創膏と手袋が必要です。作業着も使い古すのではなく、定期的に交換するようにしましょう。
×良くない例
・始業前にチェック表で体調確認をするが、実際は下痢をきたしている従業員が調理に従事していた。
→体調に問題があってもそれを報告できなかった状況に問題がある。繁忙期による忙しさなどで「自分がいないと迷惑をかける」と報告を怠ることで後に食中毒事故となって問題が発覚する事例が後を絶たない。普段から上長が率先して報告の大切さを指導していく必要がある。
・④-2 衛生的な手洗いの実施
こまめな手洗いを心がけましょう
トイレの後、調理場に入る前、汚染源となる食品に触れた後、加熱工程の無い食品に触れる前、盛り付け作業前後、金銭を触った後、清掃後で衛生的な手洗いを行いましょう。一般家庭で行われる手洗いと、衛生的な手洗いは方法が違います。
ポイントは指や手のひら、手首を2回洗うこと!
時間としては30秒×2セットで1分の手洗いが推奨されています。指輪などアクセサリーを外すことや、爪を短く整えておくことが重要なポイントです。
日本食品衛生協会 手洗いリーフレットhttps://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/dl/link01-01_leaf02.pdf
■毎日の記録が必要!
上記の項目は作成後、毎日の記録が必要です。またそのためには従業員へ教育が肝心です。衛生管理計画には必須の重要項目があり、厚生労働省の手引書で細かく手順があります。
あなたのお店では何をすべきなのか、しっかりと考えていきましょう。