寿司店でのアニサキスによる食中毒ニュースをよく見かけませんか?アニサキス以外にも注意すべきことはたくさんあります。今回は寿司店でのHACCP、食中毒についてお話します。
目次
■寿司店HACCPやるべきこととは?
HACCP(ハサップ)の考え方を取り入れた衛生管理をすべての食品事業者が実施する法改正がありました。HACCPの考え方には一般衛生管理とメニュー別の重要管理点でそれぞれの衛生管理計画の策定が必要です。今回は寿司店が特に気になる3つをお話します!
- メニュー、調理法別の衛生管理
- 寿司店で特に注意すべき食中毒
- 食中毒を未然に防ぐには
■1.メニュー別に衛生管理が必要!
・グループ1: 冷蔵品を冷たいまま提供する料理
すしだね(鮮魚・きゅうり)、梅干し、三つ葉、ツマ、大葉、菊、わさび、しょうが、ねぎ、ガリなど
【ルール】
- 冷蔵庫から取り出したらすぐに盛り付けて提供する
- 生野菜はよく洗浄殺菌して保存する
・グループ2:加熱後提供する、加熱後温存保存して提供する料理
茶わん蒸し、吸い物、しゃり、揚げ物など
【ルール】
- しっかりと規定の加熱時間を守る。
- 蒸し物など中心まで火が通るように時間と温度を決める。
- 保管は保温機で65度を下回らないようにする。
・グループ3:加熱と冷却を繰り返す料理
湯でえび、あなご、かんぴょう、卵焼き、たれ、和え物、煮物など
【ルール】
- 加熱調理後はすぐに清潔な容器に小分けして冷却する。
- 再加熱する際は中心まで、十分に加熱・沸騰させる。
- トッピングの食材は常温で出したままにせず、冷蔵保存し直前で盛り付ける。
・グループ0:常温保存の食品
海苔、調味料(醤油、塩、砂糖など)、ごまなど
【ルール】
- 封をして害虫・害獣の危害の無い場所に保管する。
- 容器の中身には直接手で触れない。
・菌はつけない、増やさない!
調理方法などはそれぞれメニュー別に計画書にして残しましょう。
特にグループ3の加熱と冷却を繰り返す食品は、調理後数日置いて提供されることもあるため、加熱後に菌をつけない・ふやさないことがポイントになります。汁気があり、味付けのやさしい煮物や和え物は数個の菌の付着でもその後、爆発的に増殖することが考えられます。突き出し・先付けなどに用いられるような料理は作り置きのことが多いため、注意が必要です。
■2.アニサキスだけじゃない!寿司店で注意すべき食中毒
・腸炎ビブリオ
【特徴】
- 腸炎ビブリオは海水にいる魚介類を汚染している
- 特に夏の水温が高くなる時期に腸炎ビブリオはより増える
- 海の細菌のため耐塩性
【対策】
- 水道水(真水)でよく洗うこと
- また10度以下で増殖が抑制できるので、提供後はできるだけすぐに喫食してもらう事も重要になってきます。
・アニサキス
【特徴】
- アニサキスは菌ではなく寄生虫
- 飲食店での被害件数は一番多い
- 白い半透明で2~3㎝の体長のため目視で確認できます。
【対策】
- 加熱・冷凍処理で死滅する
- 魚介類の処理が出来る人が目視で取り除く
・黄色ブドウ球菌
【特徴】
- 手指の傷や化膿に多く存在する
- 気温が高い時期に増える
【対策】
- ささくれや切り傷などがある従業員は直接食品に触れない
・ノロウィルス
【特徴】
- 寿司をきっかけとした食中毒が多い
- 人から人への感染も危険度が高い
- 1件の発生に対し被害人数が多く、大規模な事故になりやすい
【対策】
- 従業員の体調管理を徹底する
- 1人でも発症者がいる場合、トイレからの二次汚染を防ぐ
- 加熱が必要な食品は中心部までしっかり加熱する
■3.実際の食中毒例
・発症者30名以上、営業停止
事故例
令和2年1月、千葉県内のすし店でにぎり寿司などを食べた男女34名が下痢・嘔吐の症状を訴えノロウィルスが検出されました。
従業員にもノロウィルスの保菌が確認されました。
同店は2日間の営業停止処分を受けました。