洋食店のHACCP – みんなのHACCP
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HACCP講座

洋食店のHACCP

HACCP(ハサップ)の考え方を取り入れた衛生管理をすべての食品事業者が実施する法改正がありました。
飲食店も法律に従ってHACCPの考え方を知ったうえで営業をしていく義務があります。
HACCPの考え方には一般衛生管理とメニュー別の重要管理点でそれぞれの衛生管理計画の策定が必要です。
今回は特に洋食店の目線で必要になるメニュー別の重要管理点を考察しました。
一般衛生管理は共通になるので割愛します。
食品を扱う際、危険温度帯(10~60度)を避けるように管理する事がHACCPの考え方にある重要ポイントです。

グループ1: 冷蔵品を冷たいまま提供する

カット野菜、ねぎ、大根おろし、カットレモン、カットフルーツ、ミント、生クリームなど

【ルール】
冷蔵庫から取り出したらすぐに盛り付けて提供する。生野菜はよく洗浄殺菌して保存する。

グループ2:加熱後提供する、加熱後温存保存して提供する

ハンバーグ、ステーキ、フライ、ソーセージ、チキングリル、パスタ、スープ、ライス、パン、ゆで野菜、グリル野菜、フレンチトースト、パンケーキ、ピザ、グラタンなど

【ルール】
しっかりと規定の加熱時間を守る。肉などは中心まで火が通るように時間と温度を決める。加熱後はすぐに提供する。保温は65度を下回らないように保管する。

グループ3:加熱と冷却を繰り返す

パテ、煮込み料理、ソース、たれ、温泉卵、プリン、焼き菓子、ポテトサラダなど

【ルール】
加熱調理後はすぐに清潔な容器に小分けにして冷却する。再加熱する際は中心まで、十分に加熱・沸騰させる。トッピングに用いられる食材は常温で出したままにせず、冷蔵保存し直前で盛り付ける。

グループ0:常温保存の食品

クルトン、調味料(塩・胡椒・粉糖など)、コーンフレーク

【ルール】
封をして害虫・害獣の危害の無い場所に保管する。容器の中身には直接手で触れない。

洋食店で特に注意すべき食中毒等

洋食店などで特に多い食中毒があるわけではないが、特に注意すべきはグループ3の加熱と冷却を繰り返す料理群ではないかと思います。
具材をたっぷり入れたスープや煮込み料理などは出来立てなら問題ありませんが仕込んで保管するような場合、すぐに温度を下げないと細菌が増殖します。
理想は30分以内に20度以下に冷ますことです。以下注意すべき食中毒菌をまとめます。

ウェルシュ菌

ウェルシュ菌は特に煮込み料理などに繁殖しやすい菌です。
加熱しても芽胞が残るため、温度が下がり45度前後で最も増殖します。
そのため常温での放置は厳禁です。
10度以下で増殖が抑えられますが、再加熱する際はよく沸騰させることと、よく混ぜることが重要です。
食中毒事故の報告はカレーやシチュー、煮込み料理に多くあります。
大量調理などの大掛かりな調理時は特に注意が必要です。

カンピロバクター

鶏肉等に存在する細菌です。
通常の加熱処理(中心温度75度で1分以上)で死滅します。
肉の生焼け時や、二次汚染で食中毒が発生する事が多いです。
まな板、包丁の使い分けや洗浄、手洗いの徹底が予防につながります。

ノロウィルス

牡蠣などが原因になる事でも知られていますが、人から人への感染も危険度が高いです。
予防法は85度で1分以上の加熱ですが、まずは従業員からの二次汚染を防止する事が重要ポイントです。
一人でも発症者がいる場合、トイレからの二次汚染により従業員同士で感染が蔓延し、食品への汚染が起きることもあり得ます。
また、過去にも大規模なノロウィルス食中毒事故が報告されています。
ノロウィルスの怖いところは食中毒が起きた時に被害が大きくなる可能性が高いという点です。
ノロウィルス食中毒が1件の発生に対し平均して30人の被害がでています。
ノロウィルスが流行りだす11~3月の冬季は従業員に牡蠣の生食を禁止する事や近親者にノロウィルスの感染者が出た場合は休ませるなどのルールも有効です。

事故例

令和2年2月、都内の飲食店がケータリングでビュッフェ形式の提供後、喫食した266名中184名が下痢や腹痛の不調を訴えました。
提供中に異変を感じ従業員が撤去したチキンの煮込みからはウェルシュ菌が検出され、患者5名からもウェルシュ菌が検出されました。
チキンの煮込みは調理後、計8時間以上常温放置されたのちに提供されていたことが分かりました。
原因はウェルシュ菌と断定され同店は3日間の営業停止処分を受けました。

ウェルシュ菌食中毒の多くが常温で料理を放置していたことによる菌の増殖によります。
特に飲食店では一般家庭よりも大量の調理が行われるため、冷却が難しい場面もあるでしょう。
小さい飲食店では冷蔵庫が一つしかないといった調理場も想定できます。
しかしだからこそウェルシュ菌の食中毒はなくならず大規模な事故が後をたちません。
「火にかけたから安心」ではないのです。
もちろん冷却前の加熱では中心までしっかりと加熱させることが重要ですが保存時は小分け、氷や保冷剤を使うなどの工夫をし、できるだけ早く冷却しましょう。
理想は30分以内に中心温度を20度以下(60分以内に中心温度を10度以下)です。

この記事を書いた人

みんハサ編集部

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