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豚肉 ちょっとくらい生でも大丈夫?

食中毒といえば魚介類、生肉などが危険だ!というイメージがありますが、牛肉、馬肉、鶏肉は中心がレアでも食べることがあるのに、なぜ豚肉は生で食べてはいけないの?と感じることはないですか?
豚肉と鶏肉はしっかり火を通すように教育されてきた家庭も少なくないと思います。
実は基本的にどの肉にも細菌は存在しています。
と殺・解体時に肉表面が汚染されるためです。牛肉は表面についた細菌で肉中心部まで汚染されることはほとんどないためステーキ等で表面を加熱し中身がレアな状態でも食用にできます。
ただしサイコロステーキなどたれに長時間付け込んだ肉やハンバーグなどは中心部まで加熱が必要です。
馬肉は他の家畜と比べ菌が繁殖しにくいことに加え、菌が検出されない事などの基準をクリアしているものが生食用に販売されています。
鶏肉もほんの一部生食用の流通がありますが、一般的に流通している鶏肉は生食できません。
特にカンピロバクターでの食中毒が多く報告されており、場合によってはギランバレー症候群という四肢の麻痺など日常生活に支障が出るような後遺症を残す可能性があるためです。
現在は規制などが設けられていませんが、今後具体的な対応を検討する段階に入ると思われます。
それらに比較して豚肉の注意点をまとめました。

なぜ豚肉は生で食べてはいけないのか

E型肝炎ウィルス

豚はE型肝炎ウィルスに感染している可能性があります。
このウィルスは豚・イノシシ・シカに感染しているもので、牛や鶏にはありません。
国内の豚は約7割がE型肝炎ウィルスの抗体があったとのデータもありますが、人のE型肝炎ウィルスの発症例のうち約35%は豚肉が原因と考えられています。
内臓(特にレバー)に多くあり、感染している豚肉は生で喫食することで人への感染が起きます。
このウィルスは感染しても無症状の場合がほとんどですが、15~60日の潜伏期間を経て悪心・腹痛・黄疸などを発症します。重症化する例もあり、特に妊婦や免疫不全者は致死率が上がるため注意が必要な感染症です。
加熱により予防が可能で63度で30度以上または中心部までしっかり火が通る事とされています。

細菌

細菌に関してはカンピロバクター、サルモネラ菌などが主な食中毒菌であげられます。
豚肉に限らず他の食肉にも付着しています。
これらも加熱での殺菌が基本になっており、中心温度を75度以上で1分以上加熱しましょう。

寄生虫

現在国内産の獣畜は畜場法に基づき検査が行われ、寄生虫病の判明がされた食肉は廃棄措置されています。
寄生虫感染自体も農場の衛生管理の徹底によりかなり少なくなってきているそうです。
死滅させるには一般的に冷凍・加熱処理が有効とされています。
中心部までの加熱で寄生虫の心配はなくなります。

これらの危険を踏まえたうえで規格基準が設けられています。
つまりは豚肉は一部の加工を除き加熱しなくてはいけないのです。

規格基準(平成27年)

・豚の食肉は、飲食に供する際に加熱を要するものとして販売の用に供さなければならないこと。
・販売者は、直接一般消費者に販売する事を目的に、豚の食肉を使用して、食品を製造、加工又は調理する場合には、中心部を63度で30分間以上の加熱又はそれと同等以上の殺菌効果のある加熱殺菌が必要である事。

※規格基準は、食品衛生法第11条に基づき設定するものであり、同法においては、規格基準に違反した場合の罰則として、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金が定められている。

勘違いされやすいこと

SPF豚・無菌豚

「この豚肉はSPF豚で無菌だから生で食べられる!」

こういった誤った認識がされている事があります。
飲食店でもとんかつをレアな状態で提供するところも見受けられますが、生食の提供は法律で禁止されています。
SPF豚というのは特定の病原体の無い豚肉の事で、一旦と殺・解体してしまえば扱いは一般の食肉と変わりません。
SPF豚は健康的な豚というもので、そもそも食肉を無菌で管理することはほぼ不可能だと考えて間違いありません。
また、無菌豚とは通常流通する用の豚肉ではなく、帝王切開で生まれ無菌の餌や無菌の水など特定の環境で育てられ、試験動物にされる豚を指します。

生ハムは?

豚の生食が禁止されていますが、それでは生ハムは大丈夫なのでしょうか?ハムやソーセージなど、豚肉は塩蔵や低温調理(63度で30分加熱)されていても中心がピンク色をしている事もあります。
これは細菌が死滅してウィルスも失活していますので安心です。
しかし生ハムはどうでしょう。
生ハムはpH、水分活性ともに基準が設定され、細菌の増殖はほぼないと判定できる基準にがあります。
E型肝炎ウィルスに関しては、明確なデータがありませんが、現在まで生ハムからのE型肝炎ウィルスの発症例が報告されていないといいます。

まとめ

豚肉の生食は禁止されています。
生食というのは中心まで火が通っていない状態も含まれます。
たとえ、肉の塊の外側をトリミングしたとしても菌やウィルスが中心にない可能性は否定できません。
また法律の規格基準に基づいて加熱する事が必要です。
「63度で30分と同等の加熱殺菌」と聞くと、では80度では何分なら問題はないのか?など疑問が出てくると思いますが、厚生労働省のHPでも明確な温度の基準はありません。
E型肝炎ウィルスの詳細なデータが不足しているためです。
そのため加熱の基準は「中心部までしっかりと加熱」とあります。
豚肉の料理を提供する際は中心部が白っぽくなり、火が通ったか分かるまで加熱していれば安全ということです。
調理する際には中心部までの加熱を意識しましょう。

この記事を書いた人

みんハサ編集部

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