HACCP(ハサップ)ってなに? – みんなのHACCP
電話でのお問い合わせ
HACCP講座

HACCP(ハサップ)ってなに?

「みんなのHACCP」へ訪問頂きましてありがとうございます。
このサイトへ訪れた皆さまには色々な背景があると思いますが、多くの方は具体的に「一体何をすればいいの?」ということで情報を探していることと思います。

「みんなのHACCP」 はHACCP専門サイトとして、そういった人たちに有意義な情報を提供するために生まれました。ぜひ、必要な情報を見つけていってください。

1.HACCP義務化

HACCPとは、Hazard Analysis Critical Control Pointの頭文字をとったもので、危害要因分析(Hazard Analysis)・重要管理点方式(Critical Control Point)と訳されます。簡単に言えば、食品製造プロセスに潜む食中毒菌などのハザードを見つけ、危険度の高いハザードを確実に制御する方法を決めて、管理することです。

HACCPが最初に登場するのは、1960年代に米国NASAで宇宙食の安全性を確保するために開発された時です。その後米国内で一般に知られるようになるのは、低酸性缶詰の 適正製造基準(GMP)に、HACCPシステムに基づいた衛生管理が取り入れられたことに始まります。

その後1993年、HACCPシステムは、国連の国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同機関である食品規格委員会(コーデックス委員会)から発表され、各国にその採用を推奨しました。国際的に認められた最初の食品安全規格になります。

日本では、1990年に「食鳥処理場におけるHACCP方式による衛生管理指針」が策定され、1996年5月に食品衛生法の一部を改正し、「総合衛生管理製造過程承認制度」が創設され、1996年5月から施行されます。この制度は、厚生労働大臣が承認基準に適合することを個別に確認するもので、製造または加工の方法及びその衛生管理の方法について、食品衛生上の危害の発生を防止するための措置、つまりHACCPシステムが組み込まれており、HACCP以外にも、施設設備の保守管理と衛生管理、防虫防そ対策、製品回収時のプログラム等の一般衛生管理プログラムを含めた総合的な衛生管理であり、
その内容を文書化し、そのとおりに実行することを要求しています。ただし、承認の対象となる食品は、乳、乳製品、清涼飲料水、食肉製品、魚肉練り製品、および容器包装詰加圧加熱殺菌食品(レトルト食品)に限られており、全ての食品事業者を対象とした制度ではありませんでした。

2014年に、管理運営基準に関する指針(ガイドライン)が改正され、従来型基準とHACCP導入型基準が規定され、食品事業者はいずれかに沿った
管理運営基準を作成することになりました。ここでもまだ、HACCP導入は義務ではなく選択が可能でした。

政府は、農林水産物・食品の輸出力強化戦略を掲げ、輸出に力を入れる一方輸出先国からのHACCP義務化の要請や、インバウンド(訪日外国人観光客)の増加、更に、2016年12月の「食品衛生管理の国際標準化に関する検討会の最終とりまとめ」を踏まえ、製造・加工、調理、販売等を行う全ての食品等事業者を対象にしたHACCPの制度化を決定、2018年度通常国会で審議されることになり、2018年6月7日可決、6月13日公布されました。施行は2020年6月になります。

HACCP義務後は、総合衛生管理製造過程承認制度は廃止され、また、ISO22000、FSSC22000、JFS等の国際規格を認証している組織は、営業許可の申請書類の提出時、監視指導計画の策定や監視業務に際し、これらの認証書や関連文書等も活用し、監視指導の効率化や事業者の負担軽減を図ることに十分配慮すると発表されており、HACCP義務に伴い、これら食品安全規格に取り組む組織が急増しています。

2.HACCP義務化でやらなければならないこと

改正食品衛生法で求められるHACCPは、大きく2階層あります。1階層目は、一般衛生管理の実施です。2階層目は、HACCPシステムの実施です。

一般衛生管理とは、食品を取り扱う上での基本作業を指しており、どのような食品を扱っていたとしても、基本、やるべきことが決まっています。(以下)

  1. 施設の衛生管理
  2. 設備等の衛生管理
  3. そ族および昆虫の対策
  4. 廃棄物および排水の取扱い
  5. 食品等の取扱い
  6. 使用水の衛生管理
  7. 従業員の衛生管理

あと、これらの実施に伴う従業員教育と記録の維持が必要となります。
具体的には、
①は、床、壁、天井、照明器具、窓、トイレ等の清掃洗浄および殺菌消毒のルール作りと実施です。
②は、製造・加工機器や器具の清掃洗浄および殺菌消毒のルール作りと実施です。
③は、ネズミや昆虫、クモ類の侵入対策や駆除のためのルール作りと実施です。
④は、ゴミの廃棄・搬出ルール、グリストラップ含めた排水の処理ルール作りと実施です。
⑤は、原料・材料、資材、仕掛品や最終製品の受入れ、保管、前処理、調理、盛り付け、配送
における手順と交差汚染防止のためのルール作りと実施です。
⑥は、使用水の管理ルール作りと実施です。
水道法に沿った上水・井水および貯水槽管理や水質管理が必要です。
⑦は、外来者含めた従業員の衛生ルール作りと実施です。手洗い、服装、健康管理、検便などです。

HACCPシステムには、7原則12手順と言われるものがあり、基本この手順に沿って実施します。 具体的に作成しなければならない書類は、以下の4種類があります。

①製品説明書・・・製品の原材料、アレルゲン、期限、保管方法、喫食対象などを規定した文書
②製造工程一覧図(フローダイアグラム)・・・製造・加工の一連の流れを樹形図にした文書
③危害要因分析表・・・危害要因(ハザード)を工程毎に明確にし、分析評価し、重要管理点を決定した文書
④HACCPプラン・・・重要管理点の管理方法を規定した文書

前述の一般衛生管理もHACCPシステムも、初めて取り組む組織には
「難しい」とよく言われます。よって、厚生労働省はホームページ上で、
手引書や付録などを公表しています。
更に、小規模事業者や一般衛生管理の対応で管理が可能な業種などは
HACCPシステムが簡略化され、業界団体が作成する手引書をそのまま採用することで
営業者自らが構築・作成しなくても済むように配慮されています。
つまり自分たちで危害要因分析(HA)をしないで済みます。
ただし、一定規模の食品製造業(従業員50人以上、※政省令発行後に正式決定)は、
コーデックスHACCP7原則12手順に沿った、HACCPシステムが求められます。

これら一般衛生管理やHACCP関連書類は、営業許可の申請および更新時の提出書類として必要になり、また、保健所の監視指導時に提出・開示を求められます。ここで勘違いしてはいけないのが、保健所に提出して受理されたHACCPシステムだからと言って、国・自治体からHACCP認証を受けたものではないということです。今後HACCPは義務であり、やっていて当たり前のものとなります。法律を守っていること=当たり前のことに、国はわざわざ認証マークなど出しません。HACCPは誰に認められなくても、実施すべきことなのです。

3.そもそも何のためのHACCP義務化か?

当然分かっていることと思いますが、「食中毒防止」です。組織の存続に重大な危害を与える食中毒事件は、何としても阻止しなければなりません。PL保険や製品回収保険など、万が一の対策は必要ですが、まずは食中毒を出さないことが第一です。

組織規模に限らず、純粋に食中毒防止に取り組みませんか?HACCPを取り入れても、本質的に理解し、実践していかなければHACCPシステムはあっという間に形骸化します。厚生労働省ホームページの、HACCP入門のための手引書には、次のように書かれています。

「HACCPを運用するうえで製品が正しく作られているか、消費・賞味期限は守られているか、製造する環境や機器類がきれいで清潔かなど、検査を行って確認することがあります」例として、「製品検査」や「拭き取り検査」が挙げられており、最終製品や設備機器・器具類の細菌検査を求めています。

これら細菌検査により見えない細菌を「見える化」して、一般衛生管理やHACCPシステムの脆弱な部分を見つけ確実に食中毒防止の対策を練ることが可能となります。どうせやらなければならないHACCPであれば、意味のあるHACCPに取り組みませんか?

この記事を書いた人

株式会社フィールズコンサルティング 柏原 吉晴

株式会社フィールズコンサルティング 柏原 吉晴

㈱フィールズコンサルティング 取締役(農学修士、MBA)
FSMS/ 経営支援のコンサルティング実績 300社以上
食品関連会社専門のコンサルティングファームとして、
FSMSを中心に、経営支援を行う。他にも講演や執筆活動も行う。
https://food-haccp.jp

もっとみる