食中毒予防を起こさないために必要な対応とは? – みんなのHACCP
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食中毒予防を起こさないために必要な対応とは?

【食品安全と投資】

食に対する要望は、「価格」に対する低価格志向、「量」に対する満足志向、「味」に対する高級志向、 安全」に対する安心志向、「産地」に対するこだわりなど、時代とともに変化してきました。食品業界は生き残りを図るため、このような顧客・消費者の要望の変化に対応してきました。

そのなかでも、食品衛生が最重要課題であるということは周知の事実です。食中毒や食品事故を発生させたら、予約取り消し、顧客離れ、風評被害、慰謝料や見舞金の支払い、最悪の場合は組織を廃業へと導くことになります。しかし店長クラスや従業員が中途半端にこのことを理解していると、食中毒・食品事故が発生した際に、現場サイドで事実を隠そうとすることもあり、さらに重大な責任問題に発展するケースも見られます。

食品はもともと多くの危害要因(ハザード)を含んでいるため、少しの油断が食中毒、食品事故につながり、組織としては、常に細心の注意を払わなくてはなりません。パート・アルバイトを含めた従業員全員に食品衛生の重要性を周知徹底し、食品安全の担い手として自覚を持ってもらうことが不可欠です。

しかし、食品衛生だけに気をとられ、効率やコスト面を無視した食品衛生管理を行っていると、肝心の経営面で綻びが生じてしまい、会社の存続が危うくなってしまいかねません。組織が生き残りを図るためには、顧客・消費者の食品安全への要求に対して、経営戦略の視点から「食品安全」と「投資」のバランスをうまくとり、どのような方針で取り組むかを明確にし、適切な対応を決定し、実施していくことが望まれます。

食品安全を実現するための適切な「投資」とは何でしょうか。一つは、食品衛生管理をちゃんと理解している人材の採用です。これは外部又は内部人材の両方が必要です。最新知識は外部人材から取り入れ、その得た知識を、現場で指導・実践させる内部人材が必要です。もう一つは、食品衛生管理を徹底させるための、設備や器具・道具の導入です。場合によっては、施設そのものの新築・改修が必要かもしれません。

食品衛生管理の基本

食品安全を実現させる食品衛生管理の基本を解説します。基本を理解し、組織内で実践していくことが重要です。

まず、顧客・消費者の不安を増大させる食中毒事件・食品事故は、毎年繰り返し発生しています。

食中毒事件発生状況

毎年1,000件以上発生。
2018年:1,330件
患者数:17,282人
死者:3人

引用元 : 厚労省、食中毒統計データ

食中毒を予防する「食中毒予防三原則」

  1. つけない
  2. 殺す
  3. 増やさない

また、異物の摂取による怪我、窒息や誤嚥、表示間違いによる食品回収などの食品事故も毎年発生しています。

年間の食品回収事例は800件前後発生。
2018年:786件

引用元 : 食品産業センター 食品事故情報告知ネット

食中毒や回収が伴う食品事故の原因も、先程の三原則が基本になります。

食中毒予防その1.つけない

食中毒の原因の大半は、ノロウイルスと病原性の細菌、および寄生虫です。食品回収の場合も、ゴム・プラ片、木片、ガラス・鉱物等の異物、化学物質やカビなど微生物が混入し、回収に至ります。

よって、これら細菌、ウイルス、寄生虫、異物、化学物質などを「つけない」管理が必要です。

どの食材に、どのような細菌、ウイルス、寄生虫、異物、化学物質などが付いているのか、まずは、その知識があり、実際に測定してみることが重要です。細菌やウイルスは目に見えません。知識と、細菌測定が頼りです。ゆるぎない測定結果を受けて、各食材(仕入先)はどのような取り扱いが適切かを分析することができます。

これがハザード分析(危害要因分析)、HACCPです。

仮に、測定結果から細菌の多い食材は、「よく洗浄する」ことになります。場合によっては、更に「殺菌・消毒する」ことが必要になります。

食中毒予防その2.殺す

いわゆる食中毒菌、ウイルス、寄生虫を殺菌・消毒することです。食中毒菌の多くは、熱に弱いので、中心温度75度で1分間以上の加熱処理をしましょう。

加熱できない生食材は、効果がある薬剤で殺菌・除菌をします。この管理も、食材によって加熱条件が異なったり、加熱では死滅しない場合の対処(冷却)など管理方法が多々あり、適切な人材の採用(外部or内部)と、設備投資が必要です。

設備投資は、温度計、残留塩素濃度計や殺菌・除菌効果を検証するための測定機器などが挙げられます。仮に、測定結果から細菌が検出される仕込品や最終製品は、再加熱処理や廃棄処分、調理の温度・時間条件の見直しなどをすることになります。

食中毒予防その3.増やさない

増えるのも、食中毒菌やウイルスなど生物的なものが該当します。これら食中毒菌やウイルスを、いかに増やさない管理をするかが重要です。基本は、低温(定温)管理です。冷凍庫はマイナス15℃以下、冷蔵庫は10℃以下、盛付場は20℃以下というように低温、且つ定温を保つことが重要であり、そのような設備の導入が望まれます。大事なのは、少しでも作業時間を短縮し、細菌が増殖しない温度帯で作業・保管することです。上記と同様に、測定結果から細菌が検出される仕込品や最終製品は、再加熱処理や廃棄処分になり、更に、仕込み、調理、盛り付けなど全工程作業の見直しをすることになります。なお、ノロウイルスの場合は、食品中では増えませんが、人の腸内では増えます。食品取扱従事者が、ノロウイルスに感染しない方法、感染有症時の対処方法、無症状でも感染源となるトイレや調理器具・道具などの衛生管理を徹底することで、ノロウイルスの作業環境中の蔓延は防げます。

【まとめ】

本稿で解説した食中毒予防三原則をよく理解し、実践するための投資を適切に行い、自組織の食品衛生状態を「見える化」しましょう。

何となくの知識や経験だけでは、人は納得しません。細菌検査などの測定結果から否定しようがない証拠を突きつけ、確かなエビデンスに基づいた管理手法を確立すること、 それを従業員に指導・実践させることで、はじめて食品安全が達成されます。

ポイント

食中毒予防3原則の実現のための投資は、将来起こりうる食中毒事件や食品事故を未然に防ぐための保険となります!

この記事を書いた人

株式会社フィールズコンサルティング 柏原 吉晴

株式会社フィールズコンサルティング 柏原 吉晴

㈱フィールズコンサルティング 取締役(農学修士、MBA)
FSMS/ 経営支援のコンサルティング実績 300社以上
食品関連会社専門のコンサルティングファームとして、
FSMSを中心に、経営支援を行う。他にも講演や執筆活動も行う。
https://food-haccp.jp

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